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音律と邦楽について [邦楽]

尺八の師範を許されてから仙台でいろいろな先生と合奏させていただいております。


師範となって間もないころでしたが、新曲の合奏が多くなりました。とりあえず、宮城曲は習い終わっていたのですが、宮城曲以外の新曲がどうも違和感があってうまく吹けませんでした。外曲(古曲)から本曲を吹く時もそうでした。


今思えば、平均律(新曲)純正律(古曲)の違いで、本曲にいたっては律は存在しますが、その音律ではなく音の前後に可変音律(音律にない音)が加わっています。なので違和感があったのでしょう。


こんな分類ですが、古曲、新曲、本曲などの演奏を連続すると当然頭の中の音律バランサーがぐちゃぐちゃになります。リサイタルを何回かしましたが、こんな構成をしたので苦労しました。


演奏会で演奏する時は古曲だけとか、新曲だけとか、本曲だけと決めておかないといけないかもしれません。


永年新曲を演奏されている方は平均律が体に染みついているのではと危惧します。純正律の古曲の演奏ができないのではと危惧します。逆に永年古曲を演奏されていた方は純正律が体に染みついているので新曲が演奏できない。まあ、演奏はできますが、平均律の演奏ではないのではと思っています。


ところで平均律と純正律の違いはオクターブ12音律の決め方です。

平均律は一つの音と隣の音の比率が約1.06となる調律(2の12乗根)です。A5の周波数が880であればA#5の周波数は932.3Hz(932.2÷880=1.05931≒1.06)になります。

純正律は倍音で調律されるので、A4=440 Hz、倍音A5=880Hz 3倍音E6=1320Hzと基音の周波数を加えて調律されます。すれは3倍音5倍音6倍音で発生し、平均律のほうが純正律よりも低くなります。

音域の幅が狭い邦楽では倍音を用いた純正律で事足りていたわけですが、洋楽の世界では楽器の発明などにより音域の幅も広くなり、和音による移調や転調などが可能その典型的な例は和音コード



独断と偏見になりますが、邦楽とは純正律を中心とした音楽であり、平均律を中心とした音楽は邦楽ではないのではないかと思っています。


お箏を弾くから邦楽だとか尺八を吹くから邦楽だというのは誤った認識ではないかと思います。


ちなみに、ジャズやポップスの類は平均律でコードを転調したり移調したりして曲を演奏します。もし、和楽器で演奏できるとすればその方は平均律の方ということになるではないでしょうか。


邦楽の義務教育化で目指すは、純正律の音楽で古典筝曲であったり、地歌、長唄などではないのかなと思うのです。だから、小学校で邦楽の演奏として新曲や流行のポップスを演奏したりするのは和楽器の宣伝にしかならないのではないか。つまり、滅びつつある純正律の音楽を伝えていないのではと思うのです。学校で邦楽の演奏依頼があったら演奏する曲は古典曲でなければならないと考えます。


私の独断ですが宮城曲(宮城道雄先生の曲)までは古曲でそれ以降の曲は新曲という定義をしています。宮城先生の新曲は純正律と平均律的な曲が混じっていると感じるから古曲に分類。そこが分水嶺ではないかと思っています。最も新曲すべてが平均律ではありません。山田流の大先生方が作曲されている曲は純正律の曲が多いようです。平均律での作曲は生田流の先生方に多いように思います。あくまでも傾向ですが。


文科省が示した学習指導要綱では「我が国の伝統音楽の指導の充実を図る」としていますが伝統音楽の定義が明確になっていないないので、和楽器を使う音楽が邦楽との定義になりかねないことを危惧します。






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