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絶滅危惧種の尺八 [尺八]

 最近尺八愛好者の人口が減っています。私はこのことについて絶滅危惧種という表現を使います。高齢愛好者の自然減以上に若者の愛好者が増えないことや若者の愛好者が途中で離脱するなどいくつかの要因があります。それらにより尺八愛好者人口は減っています。


 それは各団体の名簿を見たり、演奏会のプログラムを見ると一目瞭然です。例年発行される名簿、団体によっては隔年だったりしますが、以前に発行された名簿と比較すると確実に減っています。そして、演奏会プログラムでは例年定期演奏会に出演されていた方が出演されていないことなどで分かります。


 趣味の尺八と職業では当然職業が優先されるので職業が忙しい方の途中離脱はやむをえないのかもしれません。特に遠隔地への転勤などの場合は同門の新しい師匠がいるとは限らないからです。趣味は単独で続けるにはそれ相当の覚悟がなければなりません。しかし、継続する人はわずかです。そうやって尺八人口は減っていきます。


 何しろ「首振り3年、コロ8年」といわれている楽器です。ちなみに「首振り」は「メリ,カリ」や「ユリ」など顎の動きで音を調整する技法で「コロ」は「コロコロ」という主に指を使う技法のことです。一般的に師範の免状を取るのに10年程度かかります。そして、師範になってから演奏会などで演奏活動をします。


 しかし、演奏会は尺八側主催のものであれば舞台にたつのは容易ですが、お筝側主催となれば別で、これはほとんど指名になります。それ故、師範の免状を持っていても出演できない人が出てくるわけです。そういったところに面白みを感じられなくなり尺八から離れる方もいらっしゃるのかもしれません。


 私はそのような要因があろうと尺八人口が減るほかの要因があるのではないかと思っています。


 それは、師範免状まで取った多くの方が、後進を育成していないことではないかと思っています。つまり、お弟子を取って指導していないからだと思っています。もちろん、演奏会に出演して自分の芸を知ってもらわなければお弟子はつきません。


 まずは、自分の芸をお箏の先生に認めてもらうことから始まります。そのためには、自分の芸を磨かなければなりません。そこが大きな分水嶺であるように思っています。

 

 いや、古典本曲の尺八を吹いているからお箏の先生に認められる云々という話は違うのではないかと思われる方もいるかもしれません。


 しかし、尺八だけの演奏会はお箏の演奏会に比べて圧倒的に少ないのです。三曲界で尺八の諸先生方が尺八をここまで発展維持してきたのは三曲(お箏・三絃・尺八)という合奏形態も取ってきたからではないかと思っています。


 尺八の衰退は師範免状という資格取得し、演奏会に出演することで満足されている方が多く、その先の後進育成をするということをされていないのではないでしょうか。


 私は絶滅危惧種の尺八の主因はここにあると思っています。


 弟子を一人育てれば現状維持、弟子を二人以上育てれば発展するわけで、絶滅危惧種からの脱却が可能ではと考えます。


 


 

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