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尺八と「人間を磨け」 [尺八]

表題の「人間を磨け」という言葉は私の師匠が亡くなってから、弟子たちが集まった会合で、ある高弟の言葉で、四郎先生(五郎先生の父上)は「人間を磨け」を常々口にされていたということを初めて伺った。

 当然、私の師匠もこの言葉をいやというほど聞かされていただろうことは想像ができた。

しかし、「人間を磨け」とはあまりにも抽象過ぎて当時の私には理解できなかったが、この言葉はものすごく心に残った。


私の師匠がこの言葉の元で育ち、修行をされて、それが東京芸術大学の教授になったり、人間国宝にまでなったという結果を思えばこの言葉は私にとって目標にせざるを得ない言葉となった。


「座右の銘」は何かとよく聞かれるが、その会合後は迷わず「人間を磨け」と言うことにしている。



それにしても「人間を磨け」は課題が多すぎる。「芸を磨け」より大変である。確かに同じような内容を師匠から何度も言われたように思う。例えば芸大に尺八の学科ができたから芸大に入り学びたいと相談したことがある。


師匠曰く「芸大を出ても食べることはできない」と一言。「他の職に就き、生活を安定させながら、尺八の専門家をしたほうがいい」と。選ぶべきはメンターである。今つくづく思う。


大学を出てから民間会社に勤めたが、昼夜を問わない仕事を見ていた家族から、せっかく上手くなった尺八を続け

るにはもっと環境を安定させないといけないのではと説教され、給料が上がり始めた会社を退職し、その当時は給料は安いが安定していた公務員となり尺八を吹き続けた。


趣味はスケート、スキー、ハイキング、自転車、釣りと年齢とともに移り、後半はヨットに陶芸。今思うと貴重な経験だった。


スケートはスピードスケートで国体を目指したが選手にはなれなかった。スキーはパラレル程度。ハイキングはいつも一人。自転車は車軸のボールベアリングまで分解整備しスポーク交換くらいはしていた。サイクリングは平地から山岳もしたが短かった。釣りは子供にせがまれてはまってしまった。のちに釣りの仕掛けで特許権を取得。遊びも激しい肉体を使うものから静かなほうへと移行した。


50歳の時にはヨットを始めたがシングルハンド。現在は小康状態。60歳に近いころには陶芸にも足を踏み入れたが、これはこれで奥が深いので今はしていない。


いずれにせよ私の趣味は仲間とはしない孤独なものが多い。


「人間を磨け」の言葉には「孤独に耐得る人間になれ」と思っているからかもしれない。







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